梅子の成婚最短記録は交際1週間。逆に最長記録は、なんと1年半。とにかくのんびりした、20代の若いカップルだった。
誤解のないように言っておくが、結婚相談所の交際期間は3か月(長くても半年以内)が一般的。1年半も交際しないし、それ以前に普通は決着させるため、あくまでもイレギュラーなレアケース。
交際が順調だったので、当初は1か月ほどで成婚退会すると思っていた両担当達。まさかこんなにかかるとは夢にも思わず、二人にあれこれアプローチをしてみたものの1年半もかかってしまった。
女性は追えば逃げ、殻に閉じこもるタイプ。相手とはつかず離れずの距離感を維持したい。それは婚活屋にも対しても同じで、思っていることをなかなか口に出せないちょっと不器用さん。一方、男性は女性とは逆で、何でも担当にすぐに聞いてくるし、聞けば教えてくれる素直くん。
ちなみに、梅子は女性担当。気持ちを確認したいと思っても、彼女の気分が乗らない時は一切電話にも出てくれず、メールもガン無視。直接話を聞くこともままならない期間が暫く続いた。
交際状況は男性経由で知ることができたが、のんびりマイペースの二人には大した変化もない。なかなか決断しない二人に、「これから先一体どうするのか」と何度問いただしたことか。「これではいかん!」と思っていたある日、婚活屋からの連絡を無視し続けていた彼女から「面談に行ってもいいか」とようやく連絡があった。
久々やってきた彼女は、今まで連絡しなかったことをとにかく詫びた。「私と話す=彼との答えを出さないといけない」そう思うと、どうしても連絡ができなかったそう。聞けばここ暫くは、彼とも約束をしては自分がすっぽかし、会っていないことがわかった。彼女にどうしたいのか尋ねると、「今までひどいことをしてきたが、彼が許してくれるなら前に進みたい」と。
とはいえ、さすがの彼も待ちくたびれ、あともう少しで完全に気持ちが離れる手前だったけれど、彼女の気持ちを聞いた梅子とお相手担当は「これが最後」と、ある作戦を決行。
作戦は無事成功し、程なく二人は成婚退会した。
結婚相談所では、交際が長引くと破局を迎えることの方が多い。「交際期間のルールがあるから」と早い段階で決断させることもできたが、双方の担当は二人の性格を鑑み、積極的にそうしなかった。なにより二人がそれを望まなかった。
婚活中の男女にしてみれば、1年半は長い時間。しかし、二人が前に進むためには必要な時間だったのだろう。
ちなみにその後、あれほど成婚退会するまで時間のかかった二人は、パパッと住むところを決め、結婚に向け動きだした。今までのスローペースは、一体何だったのか!(笑)
二人が幸せになれるのであれば、(会社員なので)周りからの圧を払いのけ、時にはルールは無視し、イレギュラーな二人を見守ることも婚活屋としての役目である。


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