求めていたのは父親のような人

成婚エピソード
担当していた会員さんに、「バリキャリ」と呼ぶに相応しいアラフォー女性がいた。そこらの男性が太刀打ちできないほどの年収を稼ぐ彼女。「努力は裏切らない」と仕事に勉強に、とにかく努力を積み重ね、欲しいものは自分の力で手に入れてきたそうだ。
しかし、どんなに努力をしても結婚だけは手に入らない。
人を頼ったり、ましてや結婚相談所のお世話になるということに対し、人一倍抵抗があった彼女。
「自分の力で結婚もできない女」そんないらないレッテルを自分自身に貼りつつも、ついにプライドを捨て、結婚相談所にやってきた。
人柄自体は明るく、結婚以外のことには基本ポジティブ。けれど、不要なレッテルを身まにとっていたせいか、最初に会った時の彼女は「何だか隙が無い人だなぁ」という印象だった。
当時彼女は40代。年齢的に活動は厳しいことを伝え、自分にどんな人が合うのかわからないとの事だったので、まずは色々な人に会ってみるよう彼女に課した。
「やれることは全てやる」と、アドバイスに耳を傾け実践し、面談にも定期的にやってくる優等生。ところが面談のたびに色々なことを尋ねても、どこか他人事のようで核心に触れないし、触れさせようとはしない。
えっ、なにこの、私と彼女の前に立ちはだかる見えない高い壁は。彼女は一体どんな人を求めているんだろう。どんな人が合うんだろう・・・
答えの見つからない日々が続いていたある日の面談後、珍しくすぐに彼女からメールが来た。その日の面談で、改めて相手に対して絶対的に譲れないことを聞いたのだが、「なぜそれが譲れないのか」と尋ねると彼女は言葉に詰まり、面談中に答えは出なかった。
帰り道、彼女は面談で聞かれたことが頭から離れず、ひたすら自分と向き合い続けたそう。「なぜそれが譲れないのか、その根底にあったものにやっと気づいた」とメールに綴られていた。
彼女の譲れないポイント。その根底にあったものは、父親。
多感な思春期に父親のことが何だかうっとおしく、嫌いになってしまうことがある。彼女にもそんな時期があったが、残念なことに父親との関係が良くないまま永遠の別れをしてしまった。嫌いだった父親のはずなのに、心の奥底では父親の素敵だった部分を相手に求めていたということにようやく気が付いた彼女。
そこからはあっという間に運命のお相手と出会い、結婚が決まった。選んだ相手はどことなく父親に似た人で、しばらく経ってから気づいたそうだが、相手の誕生日がまさかの父親と同じ。(これも後で知ったそうだが、結婚した日も両親と同じ日だったそう。)
産まれて最初に出会い生活を共にする異性は大抵の人が親であり、良くも悪くもそこが基準となる可能性がある。だから、「父親みたいな人は絶対に嫌だ」と思っていても、選んだ相手は父親に似ていることがある。実際そんな声を会員さんからも聞いていた。かくいう梅子もそのひとり。
自分にとって居心地が良い相手は、彼女のように案外自分の親とどこか似た人かもしれません。

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