心を揺さぶる成婚エピソードはいくつもある。今回の主役はというと、婚活屋一年生だった頃に出会った人達。
梅子がいた相談所は担当がお相手をマッチングし、紹介するスタイル。本人のスペックや相手に求める希望条件によっては、紹介が難しい人(正確にはお見合いに結び付く紹介が難しい人)は存在する。それでも契約で決められている最低限の人数は紹介するし、紹介できるが、あくまでも自分の希望が優先された紹介ということ。
当然ながら、紹介される側の相手にも希望条件がある。見た目がタイプかどうかという問題があるにせよ、やはりお互いの希望をより多く満たしている方がお見合いに繋がる率はぐんとあがる。
今回主役の男性は、お相手に対する身長や年齢といったいわゆる表面的な希望条件は無し。内面的な部分の条件もかなり緩めであっても1つ2つ。女性も似たようなものだったが、なかなかお相手からOKがもらえず、お見合いが成立しない。
実は、二人ともぽっちゃりさん。
男性の人柄はというと、人に多くを求めず大らか。口数は多くはないが、一緒にいるとどこか安心した気持ちにさせる不思議な魅力を持っていた。相手からどれだけ断られようとも「自分が拒んだ時点で、自ら可能性をなくしてしまうから」と、終始前向きな姿勢で活動。
女性の人柄はというと、落ち込んだ時も明るく振舞おうと頑張る人。とにかく笑顔が印象的で周りから可愛がられるようなタイプ。自分が太っていることにコンプレックスを抱えており、婚活と同時進行でダイエットも頑張っていた。
しかし、残念ながら婚活市場では太っているというだけで断られることはよくあること。そういう意味で活動が険しかったが、間違いなく二人とも成婚できる心を持った人達だった。
ちなみに梅子は男性担当。初めて会った時、なぜだかわからないが、「あー、この人、めちゃめちゃいいお父さんになるな」と感じたことをとてもよく覚えており、彼と話せば話すほど、まだ見ぬお相手と子供と遊んでいる姿が勝手に頭の中に浮かんできた。
婚活屋になりたての頃はわからなかったが、婚活屋をしていると会った瞬間にこの人は成婚できそうかそうではないかわかるようになる。
ちなみに、女性の担当は同期。マッチング中、「あー、だれか会ってくれる人いないかなぁ」という同期のボヤキが耳に入ったので女性の人柄等を聞いてみたところ、「二人の思い描く家庭像が何だか似てる!絶対この二人合う!」と、「神マッチングだ~」と変なテンションで騒ぎながら自信満々でマッチング。
とはいえ、お見合いから成婚退会するまでも色々あった。のんびりでマイペースな男性にヤキモキしつつ、梅子と同期と相手女性の3人でタッグを組み、あの手この手で作戦を立て続け、ついに二人が成婚退会した日には店舗にいたスタッフが全員歓声をあげて喜んだ。
成婚退会後も二人の様子が心配で時々追っかけていたら、ついに「入籍した!」「海外挙式した!」と写真付きのメールが届いた。
婚活屋の仕事で本当に一番嬉しいのはこの瞬間。普段の生活では味わえない、なんとも言えない感情が込み上げる瞬間でもある。もちろん、同期とは笑いあり涙ありで喜び合った。
それからまたしばらく経ったある日、今度は「子供が産まれた!」と報告があった。
子供を授かるまでには苦労もあったようだが、メールにはようやく彼と本当の意味で家族になれたこと、彼の目じりは終始下がりっぱなしで子供をかわいがっていると書かれていた。彼と最初に会った時に感じた梅子の感覚は、どうやら正しかったようです。
個人的には、太っていることが悪いことだとは思いません。ただ、太っていることをコンプレックスに感じ、卑屈になっているのであれば、ダイエットすることをお勧めします。
最後に。
確かに二人は太っていたけれど、たくさん良いところを持っていたし、「きっとあなたを認めてくれる人は現れる」という担当の言葉を信じ、なにより卑屈にならずポジティブな気持ちをもって活動をした。
人には多かれ少なかれコンプレックスはあると思います。けれど、コンプレックスばかりにとらわれず、自分の良い部分に目を向けていけば、今までとは違った景色が見えてくるかもしれません。


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