隠された破断理由

昔働いていた結婚相談所は、成婚退会をすれば「はい！さよーなら」ではなく、無料サポート期間が設けられいていた。

成婚退会後に来る連絡といえば、「式の日程が決まった」「結婚しました」といった幸せなお知らせがほとんど。しかし、なかにはそれはそれはよろしくない相談をしてくる人達がいた。

それは、破断連絡または、破断しそう連絡。
（どっちもテンション下がる）

破断しそう連絡は、どうにかして回避したいという思いがあるから相談してくるんだろうけど、破断連絡は事後連絡なのでどうしようもない。

ちなみに、女性が破断を考えている場合、ほとんど修復不可なケースが多い。相談してくる時点で、自分の中では既に答えが決まっているように感じるが、少なからず迷いもあるのだろう。「破断していいよ」という誰かの後押しが欲しいのかもしれない。

さて、この破断理由。第三者からみると「そんなこと！？」という理由も割と多い。

本人にとっては真剣な理由なのだから「そんなこと！？」と言ってしまうのは憚られるが、そんな理由で破断していては誰が相手でも上手くいかないのでは、と正直頭を抱えることもある。

ある日、成婚退会後暫く経って「男性から破断を言い渡された」、と憤慨して連絡してきた女性がいた。

破断理由については、離婚と同じで片方の意見だけを聞いて鵜呑みにするのもよろしくない。可能な限り相手側からも理由を聴取するが、聴取できる事の方がレア。しかし、今回幸いにも女性との面談までに相手男性から事情を聴くことができた。

理由は・・・カラダの相性が合わない。

そ、それかぁ、本人には言いにくい理由だなぁ。

さすがに当事者の男性も相手女性に本当のことが言えず、別の理由を伝えていた。だから、担当にも当初は嘘の破断理由を話していたのだけれど、聞けば聞くほどなんだかおかしい。担当の勘ってやつがそういっている。そこで、どうにも解せず詰め寄ったところ、ようやく重い口を開いた末の答えがこれ。

「カラダの相性は努力すればいい」という人もいたりするが、夫婦になるうえでは大事な問題の1つだろう。お互いが努力したいと思えるならいいが、どちらかが我慢しての努力なら、結局いつかは破綻する可能性が高い。

そういえば、「好きなのにどうにも彼女を抱けない」という理由で、元カノと別れたという男性を担当したことがあった。他にも赤裸々過ぎてブログには書けないようなことを告白をしてきた人もいたなぁ。（遠い目）

と、この手の問題は繊細な問題でもあるから、何とも言い難いし、仕方ない。

しかし、これは困ったぞ。男性からも「本当の理由は言わないで」って事で喋ってくれた手前、女性側にに真実は言えない。「言っても良いよ」と言われたところで、非常に伝えにくいけど。おまけに男性が女性に伝えた別れる嘘の理由が、これまた女性からすれば「はぁ！？」と思うような、婚活屋としても非常に困る嘘の理由。

女性との面談中約1時間半、こんな人を紹介してどういうつもりだ、別れた理由が納得できない、とか散々文句を言われたけど、ひたすら聞くしかなかった。

そんな女性に婚活屋が言えたことは、「成婚退会の時は確かに二人の未来を真剣に考えた。（その気がなければ、他から見たら安めの成婚料とはいえわざわざ払って退会しない）しかし、残念だけどあなたのことをより知るうちに（時間経過と共に）、結婚したいという気持ちがなくなってしまった」ということ。

冷たいようだが、男女間には往々にしてそういうことはある。それだけのこと。

とはいえ、女性は結婚相談所で成婚退会した相手と、まさかカラダの相性が理由で破断されるとは微塵も考えていなかったのだろう。別れてしまった今、怒りのぶつけ先がどこにもなく、婚活屋に不平不満を言うしかなかったように思う。

一旦未来を考えた相手と別れるということは、言い出す方も相当な覚悟が必要だろう。言い出す方からすれば、あっさりと綺麗に別れたいだろうけど、綺麗に別れようとするあまり余計に相手を傷つけることだってある。その事を自覚しておいてほしい。

また、言われた方も納得できないなら、相手との衝突を避けるのではなく話し合ったり、本人に気持ちをぶつけるなりなんなりすればいい。物分かりのいい子ちゃんであっさり引き下がると、後々まで引きずることだってある。

そんなことより、一度は将来を考えた相手なのに直接会わず、ラインで別れを切り出したり受け入れたりするのは何だかなぁと思わずにはいられない。